大判例

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福岡家庭裁判所久留米支部 事件番号不詳 判決

被告人 甲斐田ミツエ

主文

被告人を罰金壱万五千円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金二百円を一日に換算したる期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

一、罪となるべき事実

被告人は肩書地に居住し昭和二十六年頃から文福旅館並に軽飲食店を開きその事実上の経営者で同三十一年夏頃は姫野伝外数名の女を表面上旅館の女中として雇入れながら伝等を被告人の前記旅館客室にて遊客相手に売淫を為さしめ利を得ていたが同三十一年七月二十三日頃、○○○市大字×××××Kの次女M子(昭和十六年六月三日生当時○○中学三年生)が同市内に映画見物に赴き帰途遅れ終電車に乗おくれ為に同市栄町二丁目十五番地の被告人の長女甲斐田マツエが経営する文福旅館支店に泊り所持金なき為宿料三百円の支払を為さずして帰宅したるが金策出来なかつたのでM子が同月廿六日夕方右支店に到り下働に使つて呉れと申込んだ為マツエがM子を被告人宅につれ行き被告人はM子を同日より文福旅館の下働女中に使用したるが同女が十八歳に満たざる児童であることにつき何等の調査をも為さず翌二十七日頃から同年八月七日頃迄の間右旅館に来遊した遊客N外五名と身代時間遊び千円で之をM子と折半する約束の下にM子を同旅館客室にて淫行を為さしめたものである。

二、証拠の標目

一、証人M子の当公判廷に於ける供述

一、右同人の福岡家庭裁判所大牟田支部に於ける尋問

一、証人Nの当公判廷に於ける供述

一、右同人の福岡家庭裁判所大牟田支部に於ける尋問

一、検証調書(被告人経営の文福旅館)

一、証人甲斐田松子の当公判廷に於ける供述

一、証人向井ハツエの当公判廷に於ける供述

一、証人姫野伝の当公判廷に於ける供述

一、証人徳水勝美の当公判廷に於ける供述

一、証人江頭勝美の当公判廷に於ける供述

一、戸籍抄本(M子の分)

一、○○中学校長の申立書

一、被告人の福岡県風紀取締条例違反被告事件判決謄本

一、被告人の前科調書

一、身上調査に関する照会書

一、被告人の身上申立書

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、右同人の司法警察員に対する供述調書

一、勾留期間調査報告書

一、M子が昭和三十一年九月八日○○○警察署に於て取調を受けた事実証明

一、甲斐田茂生の○○○市長宛の証明願

一、甲斐田鉄蔵の検察官に対する供述調書

一、甲斐田茂生の検察官に対する供述調書

一、証人馬場ハツエの当公判廷に於ける供述

一、証人中川原彦治の当公判廷に於ける供述

一、証人寺師照子の当公判廷に於ける供述

三、法令の適用

児童福祉法第三十四条第一項第六号同法第六十条第三項(罰金刑選択)

刑法第十八条

刑事訴訟法第百八十一条第一項

弁護人は被告人はM子に客をとらせたことはないM子から身代を受取つたこともないM子に岡良雄と売淫させたことはないM子がNと淫行したとせばそれはM子が独断でやつたことで関知せないから本件は無罪と主張するがM子Nの証言及び検証調書により之を認定することが出来ない。

仍つて主文の如く判決した。

(裁判官 江口弥一)

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